どんどんいくよー。
オルディントンの日記 その1
1984.9.10 晴れ
アレキサンダーは油断したな。実験体に手の甲をかきむしられてしまった。手を切断することで彼の命を取り止めることはできるだろうが、所長の椅子は取り止めることができない。1984.9.12 曇り
彼は本部に戻されて療養することになり、俺が所長の後任になった。俺が最初に出した指令は、切断された手をウイルスの育成室で保存することだった。1984.10.1 晴れ
「ヘヴンダスト」を研究しているうちに、トクの文化について多くのことを知った。彼らが数字を表示する符号はとても面白い。調べながらうっかりポスターに符号を描いてしまった。これはいいクセじゃないな。また、会議室のスクリーンに書き込んだトク数字は、椅子の位置を組み合わせなければ正しいパスワードにならない。今まで誰もその意味を理解していないから、俺のパスワードを記憶する方法になっている。
オルディントンの日記 その2
1985.5.3 晴れ
今日はトマスの計画を批准し、計画名を自分の名前にした。
彼の研究が正しければ、一致する血液さえ見つかれば、人類は永遠の命に一歩近づくことになる。会社のウイルス研究の目的を疑う人はよくいるが、このバカどもはゾンビウイルスが研究の失敗の副産物に過ぎないということを理解していない。会社の本当の目的は、人類の細胞を再生させるウイルスを開発して、老いや病気などから人類を救うことだ。このような崇高な目的の前には、どんな犠牲も必要であって、取るに足らないものとみなされる。1997.7.8 晴れ
アレキサンダーが残した問題の一つは、緊急セーフティハウスの指紋を消すことができず、逐一入力するしかないことだ。幸い、彼はすでに他の研究所の所長に就任しているから、アンロックに2人の指紋が必要になることはない。1998.3.6 雨
誰かがウイルスの情報を集めてるらしい。スティーブだった。ばかばかしい。何かに気づいたのだろうか。1998.3.9 晴れ
ヨーロッパに感染した社員が増えている。事態はこれほど手に負えなくなっているのだろうか。
昨日アンディから封鎖手続きを始めるように言われたが、もう少し待つように言った。早く「ヨーロッパーII」とセーフティハウスに隠れないと。
オルディントンの日記 その3
1998.3.10
状況は一向に好転せず、ドアの向こうから悲鳴と呻き声が聞こえるだけになった。外部との通信は完全に絶えていた。アンディが玄関の封鎖に成功したかどうか分からない。1998.3.11
もう人類の声は聞こえなかった。聞こえてくるのは、生ける屍の唸る声だけだった。完全にここに閉じ込められた。「ヨーロッパーII」は俺の手の上に静かに横たわっている。このわずかな存在から蠢くような力を感じる。今この力が最後の希望だ。