ASTRIA ASCENDING 完

ここから感想

正直言うとエンディングにはがっかりした。
調停者という世界を司る存在は言葉にしか出てこなかったし、物語が佳境に入るにつれてプレイヤー側(私)の考えがブレイザーやセリンに近くなっていったからかもしれない。みんなと仲良く平和に過ごすということは大切なことだと思う。けれど、種族間の諍いをなくすために種族の個性を削ってしまうことは本当に自由な世界と言えるのだろうか。
ブレイザーたちが非難されるのは、ダグマが言っていたとおり殺戮をしたからである。
種族間の個性によってそれぞれの間に距離が生まれるのなら、変に争うこともないだろうという彼の言葉が私は一番突き刺さった。誇張した表現ではあるが、すべてを受け入れて笑顔でいよ、という『調和』の世界は息苦しさがある。だからどこかでデミゴットたちがその歪な『調和』に気づいてほしいと思っていた。

だけどそれはなかった。
彼らの根底にあるのは『調和』。それこそが全てだった。

この世界にもうユノはいない。調停者からのメッセージを受け取る存在は他にいない。デミゴットが第333期で終わり、その後のデミゴットはいない。ゾディアックパワーを授ける力を持った女神はもういないのだ。

ものすごくポジティブに考えるなら、この世界はもう調停者を必要としない。あとは残された者同士でなんとかやっていってくれ、と彼らは判断したのかもしれない。ユノの後継を送り込むかもしれない。調停者が結局何だったのかがわからなくて非常にもやもやする。彼らは元の世界で争いが絶えなかったために世界を『調和』し安定させようとした。それはアルクタンの筋力を奪い、アウィシーから高い空を奪い、ゼフトの硬い鱗を奪い、ペスカに海での生活を捨てさせた。

これが正しいとは思えない。

ペスカの辺りはまだ序盤だったのであまり考えていなかったが、本来彼らは海の中で生活する種族である。だが、その種族の特性はなくなった。彼らは住みやすく美しかった水中での暮らしを捨て、不便な格好をしてでも地上で暮らすようになった。『調和の実』の恩恵を一番受けているのは我々だ、とペスカの王が言ったとおりだ。

最後にアレックの父はジマーに言った。
「どうなる」だって?「どうする」だろう?

調停者との繋がりがなくなった世界で、残された者はただ流されていくだけではない。それぞれが考えて生きていくのだ。どうなる、という言葉は受動的だがどうする、という言葉は主導的だ。だから、もしかすると以前よりは自由な世界になっていくのかもしれない。でも私は調停者は結構いい加減というか、あまりいろいろ考えていないような気がする。この世界を『調和』させてそれで終わり、な感じがする。

ウランは言っていた。
「調停者たちはこの世界に興味がないのでしょうか」

本当にないかもしれない。ワイルカイトに対してもデミゴット任せだった。
最終的にはユノが特攻してバルコニーから落ち、恐らくリヴァンの身体ごとワイルカイトは消滅したのかもしれない。これで目の上のたんこぶ的なワイルカイトは消えた。12人の調停者にとってこれは朗報なのではないか。不穏分子ごといなくなったのだから。だから新しいデミゴットも女神もいらない。
ノイズ……どうなったんだっけ。

とにかくすっきりしない。
ハッピーなのかバッドなのか、エンディグに救いがないのか、そのどれでもない。

ゲームとしては万人に勧められるとはいいづらい。
崎元仁の音楽と吉田明彦(と皆川氏)のイラストもよかった。
ただストーリーが上記のようにすっきり腑に落ちないものであったこと、ゲームのシステムが完成とは言えなかったためもう一度遊ぶかと言われると渋い顔になるかもしれない。

  • BGMが途切れる
  • 画面がフリーズする
  • セリフが飛ぶ
  • イベントが進行不可になる(これは未体験)
  • アイコンが見づらい(これはおま環なので、大画面で遊ぶ分には支障ないのかも)
  • スキルツリーが使いづらい
    目的のスキルまでたどるのが面倒、また要求されるSPも多いのに通常の戦闘では大したポイントは得られない。コロシアム周回が前提なのか。
  • ステ振りが微妙
    一応レベルアップによって僅かに数値は上がるが、本当に微々たるものなのできちんと育成しようとするとスキルツリーで補強することになるが、SPは有限なのでほいほい解放できない。
  • 画面が暗い
  • J-STERがだるい

ダンジョンについては面倒くさいと思ったが、VPやってるのでそういうものもあるよねと思った。分かりづらいけどギミック自体は難しすぎるということもないので散策に時間を費やすということはなかった。敵を避けるのはやや面倒だったが……。あのシンボルの当たり判定が結構広い。

画面については別記事でも述べたが、プレイ側の画面が暗いのも原因の一つだが天候のところに「暗い」みたいな表記があるのである程度意図した暗さになっているのだとは思う。だが、他のゲームでは気にならなかっただけにストレスにはなった。あまり明るいと疲れる私とは相性が悪かったのかもしれない。

J-STERは強制イベント以外はほとんどやっていない。要は多い数字のトークンを持っていれば勝てる。試しにクリア後のユノに勝負を挑んだが、こっちのトークンが1とか3なのに大してユノはすべて8。勝てるか!
ほぼすべてのNPCと対決できるというミニゲーム(どこがだよ)だが、残念ながら全然遊ばなくてもクリアはできる。盛り上がると言うよりはトークンかき集めゲーのような……。

クリア後に一応時間を巻き戻してかつてのデミゴット(ただしダグマではなくジマー)として行きそびれた神殿などへ行くことが可能。実績も細かくやりこみがやりたいというドMな人にはいいのか?

以下はスタッフロールのSS。
キャラの絵が一番はっきり見られるので撮っておいた。

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ASTRIA ASCENDING 14

ここからはエピローグなのでSS多め。

結論から言うとこの世界は救われた。第333期のデミゴットたちの手によって。
そして(おそらく)調停者と繋がっていたユノがいなくなったことにより、残った者たちは調停者の力を借りず生きていくことになる。デミゴットがもういないというのは当分は平和だからというわけではなく、ゾディアックパワーを授ける人物が最早いないからと言う風に私は理解した。

ジマーはデミゴットになった時期が終盤だったから、他のデミゴットが死んだ後もこうして各地の争いの爪痕を見つめ続けている。そうなのだ。デミゴットたちは力を使い果たし、3年の寿命を終えた。
正直、エンディングくらいは救われてほしかった。
デミゴットは調停者の言うなりに操られていたように見えた。
最後に調停者と殴り合って、デミゴットという名の束縛から彼らが解き放たれて、もう一度家族や愛する人に会うという儚い希望を持っていた。でも、それじゃ断腸の思いで断ち切ったものはただ盛り上げるための演出になってしまう。クレスが弟や母親と決着をつけたように、エコが強く拒絶したように、彼らは死ぬから未練を残さないようにしていた。家族も失った。
犠牲なくして終わるような話ではない。

今はいろいろな種族が手を取り合って生きている。
それはとてもいいことだ。けれど、ブレイザーやセリンが言っていた「自由」は本当にこんな世界のことをいうのだろうか。私は納得がいかなかった。

ウランやエコがかつておいしいと言って食べていた果実。ジマーの口には合わなかったが、そのことをかつての8人のデミゴットが笑っていたような気がした(ほわーっと後ろに浮かぶ演出はややずるい、泣きそう)。

ASTRIA ASCENDING 13

奇しくも14章・13というシナリオで13個目の記事。

おい!こらアレック!どさくさに紛れてなにしとん!!

セリンとブレイザーの無言の会話のあと、静かな音楽のままシューティング開始。ブレイザーはアウィシーを殺したけど、セリンはそれでいいんだろうか。何も言わず、戦闘後に落ちていくセリン……。

ブレイザーが黒幕だと思ったら、ミグミーの真の主はワイルカイトだった。そのミグミーに従っていたのがブレイザーだった。ミグミーマスコットじゃなかったんかい!何かボス感漂わせてたのに「ミグミーのしもべ」と言った時はちょっとがっかりした。ウランの兄を連れてきたのはミグミーが彼を選んだから?わけがわからないうちにワイルカイトの封印は解けた。

ユノを人質にし、ウランの兄リヴァンの体をのっとったブレイザー。俺を倒したらお前の兄貴も死ぬんだぞというお決まりの台詞を述べるが、ウランはデミゴットのリーダーである。その任務を全うするためなら兄の身体であってもブレイザーを、ワイルカイトを倒さねばならない。

何やかんやあってボス。いかにもボス!ラスボス!
ゼロムス?エクスデス?破壊するもの?

そしてワイルカイトに勝利した。
しかし彼はまだ息があった。最期の力を振り絞ってなんとか終わりを呼ぼうとしたとき、ユノが彼に突撃してそのままリヴァンの身体ごとバルコニーから落ちた。

……え?

混乱した頭のままエンディングへ続く。

ASTRIA ASCENDING 12

そんなこんなで聖獣やエンブレムを集め終わったので、やっとウィンダムへ。ウィンダムってなんだっけ?と思ったけどあれだ、アウィシーのセリン達がいるところ。空の高い所だ。力もつけたし乗り込めー。

まさかのフェドラ操作。
まあ今更こんなことでは驚かんよ。

『調和の実』によってアウィシーは高く遠くへ飛ぶ力を失い、アルクタンはかつての筋力を失った。ゼフトの鱗は昔ほど硬くなくなった。ペスカは豊かな水中での生活を捨て陸に上がった。これは最早自由とは呼べない。それに気づいてしまったら多分私もセリンに同調したと思う。確かに生まれてからずっとこうした生活をしていたら、それが当たり前のように思えてしまうだろう。だけどそれでいいんだろうか。いい、という保守的な者もいるかもしれない。だけど本来の種族の個性は一体なんだ?と思うのね。いいも悪いもひっくるめて世界は存在する。
ウィンダムの武器屋にいるナーシは言っている。
「アウィシーは翼のせいで他の種族を見下しがちだ。上から常に見下ろす立場からすれば、傲慢になっても仕方のないことだ。だが、どんな種族にも強味と弱味がある」

ここの武器屋のデューカいい声すぎィ。

そして英雄の退場という不吉なタイトルに怯えていたところにダグマが。
彼は息子のジマーがアウィシー族と付き合っていると知ったときこう言ってた。「アルクタンはアルクタン。アウィシーはアウィシーだ」と。ダグマの中での『調和』は一般的なものとは少し違う。種族の差をなくそうとする『調和』ではなく、それぞれの種族が個性を発揮することによって距離をおけるなら、それはそれでいいと思っていた。ノイズや不協和音を敵として認め、それとも距離を置く。そういう今の世界もいいと思っていた。だけどブレイザーはアウィシーを襲い、より力を蓄えるために多くの命を奪った。

あああー!ダグマー!!!
混沌の王ワイルカイトだかなんだか知らんがうちのダグマがー!!!
ジマーが引き継ぐったって寿命はここから起算して3年?それとも引き継ぐから後3ヶ月?
うあーダグマー!!

ユノの年齢が1000歳over。
ワイルカイトは13人目の調停者でへびつかい座をつかさどる。へびつかい座かあ……。アセンションツリーでビッグバンのところに名前があったので特別だと思ったけどまさかそれが混乱を引き起こしたであろうワイルカイトだとは。
彼は種族の異なる存在が発展させた世界を『調停』して『停滞』させることを否とした。確かに争いは多く、殺伐としているかもしれない。けれどそれが本来のあるべき姿なのだと言われたら。うーん、シナリオが進めば進むほどデミゴット達とは真逆の考えに頷くようになってしまう……。

しかしデミゴットという特殊な力を得た存在が戦士するのは予想していなかったとか、調停者も大概ザルだなあ。力があっても死ぬ時は死ぬ。正直な所アラシアが死ぬかと思ってた。

ASTRIA ASCENDING 11

逆さマップ。最初はこのまま歩いてギミックを解くのかと思ったら、普通に部屋が回転しただけだった。箱を風で押したりしてスイッチにはめる簡単なお仕事。

ちょっと幻想的で絵画っぽかったのでお気に入り。

おうし座のアストラエ、ヴィサーカー。
あ!こいつあれだ、ガーディアンのアセンションツリーの背後にある星座っぽいやつ。他のアストラエももしかしてそうだった……?全然見てなかった。

ここは蜘蛛の巣みたいなところで、要所要所で蜘蛛の巣を燃やさないと移動速度が落ちる。ギミックも凝ってるけど、一番つらかったのはこのでかい虫。気持ち悪い……。

そしてここまでに水のリングと土のリングがパワーアップした。
水のリングは水上を歩けるようになり、土のリングは召喚した像とウランの位置を変えることができるようになった。水の上を歩くというよりは走らないと落ちた気がするが……。
これ、まだ風と火も強化されるのかな。

最奥部にはレイサ。
彼女の夫のイルヴォスを「殺した」と言うクレスにエコは言いすぎだと反発。あれは正当な行為だったんだと。だけどクレスは「いつまでも善人で立派で正義の味方じゃ疲れるでしょ?」とやんわり返す。お姉さん。
けれどもレイサは恨んでなどいなかった。むしろ感謝していた。名家の地位をこれ以上下げてしまうことがなかったからと。そして彼女はこうも言った。クレスがドラス(と母)を手にかけたのはデミゴット史に残る逸話だ、と。家督を継いだ姉を支えるべく、ドラスはブレイザーに取り入って揉め事をなくすよう努めていた。レイサはそれを知っていたから、家督をついでゆったり構えていたクレスのことが気に入らなかったのかもしれない。
けれどドラスはブレイザーに脅されて『調和の実』を捨て、心の調和を失ってしまった。その結果が姉弟の対決につながった。

……なんというか、終盤になって神殿を巡るターンになってからいろいろえぐられるような話増えてきた。