ファトゥムが赤獅子騎士団副将、アレクシス=デューラーを追って神殿に向かった後のサディーヤとの会話。
毒術士サディーヤ
「そうですか、そのようなことが・・・
わかりました。
ファトゥムさんとナーダさんの過去をお話します。
お聞き下さい・・・
彼らが今から約40年前『アザレの石』のために不老不死の体になったことはもうご存知だと思います。
多くの人が羨む不死の体ですが、不死者となった彼らの運命は悲惨なものでした。
不死の体を得た十数人の大人達は、この町の城塞造りや坑道掘りに昼夜を問わず働かされ、
あの姉弟もまた、貴族の退屈を紛らわすための玩具として、
アスロイトの王都ガスニッツに連れて行かれました。
汗して働かずとも、民衆から絞り上げた税でのうのうと生きていける貴族達の1日は非常に退屈なものです。
有り余る酒に女、贅を尽くした毎夜の舞踏会・・・
しかし、ガスニッツの貴族達はそれにも飽きていました。
その貴族達の前に連れてこられた姉弟は、貴族達の眼に格好の退屈しのぎの対象と映ったことでしょう。
貴族達は、「どの程度で死ぬか」「本当に不死なのか」といった好奇心を満足させるために、
姉弟の体を傷つけ、それを酒を飲みながら鑑賞して楽しんだそうです。
しかし、ナーダさんの精神はその地獄のような毎日に耐えられず、すべての心の動きを失ってしまいます。
悲鳴もあげず表情も変えない彼女に興味を失ったのか、
貴族達は玩具に飽きた子供のようにこの姉弟を捨てたそうです。
その後20年以上、姉弟の存在は誰に思い出されることもなく、ある貴族の屋敷の地下牢に閉じ込められていました。
姉弟の身柄を商人から買い取り、己の欲求のまま飽きるまでもてあそび、ついには地下牢に捨てたその貴族、名前はハイデル=デューラー・・・
迷宮内で私達を待ちかまえている赤獅子騎士団の副団長アレクシス=デューラーはその息子です。
彼が復讐心に飲み込まれる前に彼を探し出して下さい。
そして彼を止めて下さい。