カルスの棺桶の住人達へ

送ってもらった「子竜の宝珠」、
いつもの8倍の値段でバイレステの貴族に売りつけさせてもらった。

地下都市アスラ・ファエルの発見より40年、
さすがに昔ほど効率よく大金に化ける財宝も少なくなってきたが、
今回は珍しく旨みのある商売だった。
一応ここで礼を言っておく。

そういえば、「魔法具」の相場だけは

20年以上ずっと高値で安定している。
7割は南の方に流れてるようだ。

この平和な時代、あんなものを集めてどうするんだと
疑問に思うこともあるが、
高値で売れることに誰も文句はない。
これからもどんどん送ってくれ。

次に、世界中の出来事を書き連ねておく。

バイレステ共和国四十人委員会の議長が、
イレニア独立運動のテロリストによって殺害された。

今年の頭に元首の家が家事になって、
パーティーに来ていた政府高官6人が炎に巻き込まれて死んだが、
あれもおそらくイレニア独立運動の仕業だろう。

いずれも犯人はまだ捕まらないが、
バイレステ共和国政府はこの報復のため、
5百人を超えるイレニア人を、
イレニア島から連れ去ったらしい。
また労働力としてどこかの山に送るのだろう。

国と国との戦闘がなくなって、
もう千年を越えるらしいが、
こういう歪みは一向になくならない。
いや、最近は特にひどくなっていくように感じる。

俺が歳をとっただけかもしれないが・・・

次に北の話題に移る。

アスロイト四公爵の1人アスカニア公と
ファコルツ公国との騒動は
大方の予想通り金で解決したが、
終わり方が少し面白かったので書いておこう。

一時期は、同じくアスロイト四公爵の1人
デューラー公とファコルツ公国が手を結んで
アスカニア公を挟撃するという噂も流れたが、
有利なはずのファコルツ公が先に手を引いた。

これもあくまで噂だが、
ファコルツのある有力者の1人息子が
何を思ったのか1人でアスカニア公の領土に
攻め込んで、逆に森で遭難したらしい。

ファコルツ公はその男の捜索をしてもらうため、
アスカニア公に大金を渡したそうだ。
こんな頭の悪い貴族サマのために税金を納めているとは・・・
ファコルツの民には同情を禁じえない。
いや、どの国も似たようなものか。

タッセル商会 オルターナ・E・タッセル