カルスの棺桶の住人達へ
今回その町に向かった冒険者は合計87人。
だが、数カ所で山崩れが起こったらしい。
後発の隊商が今日引き返してきた。
詳しいことはまだ分からないが、
全体の2割も辿り着けないのではないかと思う。
珍しくない事故とはいえ、今後の商売に影響が出ないか心配だ。商館ごとの取り分も見直さなければならないし、
何人がそちらに着いたか、
そちらに辿り着いた商隊にどのくらいの財宝を持たせることが出来たか、
そちらの手続きが終わり次第、なるべく早く報告してくれ。
次に、世界中の出来事を書き連ねておく。
まずは「ミバル公殺害事件」の続報だ。
去年の秋、ラコース王国の第2の実力者ミバル公が、
ラコース王国とバイレステ共和国の国境線の森で実の子に殺された話は
今まで何度か書いたと思うが、
2ヶ月前、その犯人がブレーゼの町で目撃されていたそうだ。ここからはもちろん推測だが、その町に向かったという可能性も出てきた。
無事に町に入れたか、山崩れのせいでこの町に戻ってくるかは
まだ分からないが、後者なら賞金稼ぎのいいカモになるだろう。
北ではアスロイト王国とファコルツ公国がまた揉めだしたようだ。
ファコルツ公が、アスロイトの四公爵家の1つ
アスカニア公の娘の悪口を言ったことが騒動の発端らしい。悪口合戦はどんどん加熱して、
今では両公爵とも軍勢を集めて相手を攻めてやると息巻いているとのことだ。軍隊などいくら集めても、
2百年前の「7月戦争」のように一度も剣を交えることなく終わるのは目に見えているが、
こんなことが原因で国と国とが喧嘩とは・・・
呆れ返るほど平和な時代だ。
タッセル商会 オルターナ・E・タッセル