アスラ・ファエル、地下遺跡の真実についての会話メモ。
がっつりネタバレなので一応畳む。
オイゲン
「おう、クムラン
もうそろそろいいんじゃねえのか?残りはまだ遺跡の中だろ。
クムラン
「ええ。
大剣を担いでいる男
「クムラン先生よぅ。その前に質問いいかい?
クムラン
「・・・?
大剣を担いでいる男
「魔物共が世界中に出現したのは『シェオルの柱』を壊したからだって噂があるんだが、それは本当か?
クムラン
「・・・・・・
左奥に立っている男
「オレも知りてえな。凶戦士のクソ野郎共には仲間を何人も殺された。
その上ヤツラを助けたために故郷が魔物に荒らされてる・・・
これじゃ怒るなっていう方が無理だ。
大剣を担いでいる男
「どうなんだ?
ヤツらを庇うために嘘をつくってのはナシだぜ。
クムラン
「皆さんの想像通り、柱の破壊と魔物の出現は無関係ではありません・・・
・・・ですが、魔物出現の本当の理由は別にあります。
左奥に立っている男
「どういうことだ?
クムラン
「それを皆さんに説明するためにこうして集まって頂きました。
ではお話します。
魔物の正体、そして地下遺跡の正体を。
大剣を担いでいる男
「よし、聞いてやろうじゃねえか。
クムラン
「魔物達の出現から約40年、幾つもの仮説が立てられてきました。
遺跡や財宝を守る万人だという説、
永遠の生命を追い求めた太陽帝国の人々が、実験に失敗しあのような姿になってしまったという説・・・
1万年前、魔物たちは遺跡の中だけでなく、世界各地にいたのだという説もあります。
各地に伝わる伝説や神話はその魔物達がモデルになって創られたものだと・・・
しかし、私はこれらの説に疑問を持っていました。
魔物の中には、たった50年前に子供向け寓話の中で生み出された作者の明らかな魔物もいたからです。
盗賊風の男
「前置き長いぜ、先生よう。
バルデス
「本題に入る前に必要だ。
黙って聞け。
盗賊風の男
「はい、すみません・・・
クムラン
「地下遺跡に関してもいろいろな疑問があります。
なぜ地中にあのような巨大な空間が存在するのか、古代人はどうやって地中に太陽を造ったのか・・・
オイゲン
「で、なんだ?
その答ってのは。
クムラン
「アスラ・ファエルは人の『精神世界』の集合体なのです。
あの魔物も、太陽も、巨大な空間も、そして我々が手にした財宝の数々も、全て我々の心の中で生み出されたものなのです。
オイゲン
「なんだそりゃ。
魔物もお宝も全てが幻ってことか?
クムラン
「いいえ。
魔物も、地下遺跡も、財宝も確かに存在します。
遺跡の中で拾った財宝は、地上に持ってきても何ら変わりなく存在する。
これでは幻と呼べないでしょう。
オイゲン
「じゃあ一体・・・
クムラン
「アスラ・ファエルの中では、人々の心の奥にある様々な感情が物質化、具現化するのです。
例えば、我々が遺跡で見つける財宝は、人々の欲望が物質化したものです。
そして魔物達は、人々の恐怖や憎悪が具現化したものなのです。
今まで私達が戦った魔物に、神話や伝説に登場する悪魔や魔獣が多いのはそのためです。
オイゲン
「憎しみや恐怖が魔物を生み出すのか・・・
ん? ちょっと待ってくれ。
アスラ・ファエルの中の魔物や財宝が俺達の心の中から生まれたってのは理解した。
だが、外の魔物はどう説明する?
今までの話はすべて地下遺跡の中での話だろ?
どうしてアスラ・ファエルの外でただの人間がいきなり魔物に化けたりするんだ?
クムラン
「アスラ・ファエルと我々の住むこの地上世界とが融合しはじめているのです。
壁際に立っている魔法使い
「融合・・・?
クムラン
「精神世界と物質世界が混ざり合い、溶け合い、1つの世界になりつつあるのです。
私達の住んでるこの地上とアスラ・ファエルとの境界線が徐々になくなってきているのです。
壁際に立っている魔法使い
「それで世界中に魔物が・・・?
クムラン
「はい。
『シェオルの柱』を破壊しなくとも遅かれ早かれ魔物は出現していたでしょう。
2つの世界の融合はアスラ・ファエルの発見と同時に、いえ、もっと昔から決まっていたことなのかもしれないのです。
『シェオルの柱』の破壊は、それを少し早めただけ・・・
オイゲン
「で、2つの世界が混ざり合って1つの世界になったら俺達はどうなるんだ?
クムラン
「我々1人1人の肉体は消え去り、最後には形のない1つの『意思』になるのではないでしょうか・・・
この世界を構成するものは物質ではなく我々の思念です。
1人1人の思念が結合し1つの世界がつくられる・・・
老いも死もない究極の永遠・・・
これこそが古代人の求めていた『永遠の世界』の正体なのではないでしょうか・・・
大剣を担いでいる男
「何が究極なもんか。
退屈なだけじゃねえか!
壁際に立っている戦士
「そうかなぁ・・・
死なないんだぜ、いいじゃねえか。
大剣を担いでいる男
「けっ、てめえは馬鹿か!?
体がなくなっちゃあ、酒も飲めねえ、スケベなことも出来ねえ、そんな世界の何が楽しいんだ!?
オイゲン
「同感だな。
酒のない世界なんぞ生きていても意味がねえ。
で、止める方法はあるのか?
その、2つの世界の融合ってのを。
壁際に立っている魔法使い
「どうなんだ、先生。
クムラン
「『無よりゼメンとゼウェアク別れる。その地を始原の地という。
始原の地より7つの世界生まれる。
神、その外に13の人をつくれり。』
これはアノイアの聖書の冒頭にある天地創造に章の一節です。
そして、これとほとんど同じ内容の文章がアスラ・ファエルで発見された石版に記されていました。
壁際に立っている魔法使い
「それが一体?
司祭ティアラ
「聖書中の『始原の地』は、二大神ゼメンとゼウェアクが別れ
私達が住んでいるこの世界を含む7つの世界を生み出した天地創造の始まりの地です。
それ以前の世界は、神すらも存在しない『無』の世界だったと聖書には書かれています。
大剣を担いでいる男
「ああ、一応それくらいは知ってるぜ。
司祭ティアラ
「そして、『始原の地』は、神による天地創造の始まりの地であると同時に、第二の天地創造が始まる地であると聖書には書かれています。
オイゲン
「第二の天地創造・・・?
聖書の最後の方に書いてあるヤツか。
司祭ティアラ
「
「人々の神を求める声が高まり、復習と怒りを司る忌まわしき魔物が天界の神殿を血で汚した時、第二の預言者あらわれる・・・
そして、第二の預言者が『始原の地』への光の扉を開いた時
人の時代は終わり、永遠なる神の時代『新しい世界』が始まる・・・」
聖書の巻末、黙示録の章にはそう書かれています。
今私達がいるこの世界はなくなり、肉体と霊魂の境界のない永遠なる神の国が創られる・・・
二大神は再び1つに戻り、そこに人々の肉体と霊魂が融合し、『完全なる1つのもの』になる・・・
これが『新しい世界』、第二の天地創造です。
その国の住人は、『永遠の命』と『神と共なる至福の生活』を手に入れることが出来る・・・
そう聖書には書かれています。
オイゲン
「肉体と霊魂の境界のない世界か・・・
言われてみれば、古代人の夢見ていた『永遠の世界』と聖書の『新しい世界』はほとんど同じじゃねえか。
で、どうすりゃ・・・
クムラン
「人々の意識がアスラ・ファエルの中で具現化するのであれば、
聖書という世界で最も多くの人々に読まれている本に何度もその名を表す『始原の地』がそこに存在していたとしても何ら不思議ではありません・・・
ならば、その『始原の地』を封印することさえ出来れば・・・
オイゲン
「2つの世界を融合させようとする力がなくなる、と・・・
壁際に立っている魔法使い
「そう上手くいくかな・・・
クムラン
「聖書や伝説の文章を額面通りに受け止めるなど学者としては失格なのですが、今はこれに賭けてみるしかありません。
オイゲン
「まあやってみる価値はあるってことだな・・・
左奥に立っている男
「ちっ・・・
魔物のことが知りたかっただけなのにいきなり世界がなくなるなんて聞かされてもよ・・・
もう俺にはさっぱりわからん。
だいたい、その『始原の地』ってのは何処にあるんだ?
クムラン
「我々は今まで4つの精神世界を見てきました。
『時の回廊』の3つ先の世界、そこが・・・
壁際に立っている魔法使い
「『始原の地』・・・
オイゲン
「だが『時の回廊』は途中で行き止まりなんだろ?
大剣を担いでいる男
「ああ、1回しか行ったことはねえがあそこは・・・
バルデス
「いや、鍵は見つけた・・・
馬鹿げてるくらい単純な鍵だ。
オイゲン
「なんだ、その鍵ってのは?
バルデス
「人の命さ。
オイゲン
「命? 生贄って事か?
クムラン
「ええ・・・
贄を捧げれば道は開かれると考えて間違いないでしょう・・・
バルデス
「で、みんなに別れを言いにきた。
オイゲン
「お前、まさか!!
バルデス
「世話になったな、みんな。
オイゲン
「な、何言ってやがる!!
壁際に立っている戦士
「そうだ!!
旦那が死ぬ必要はねえだろ!
バルデス
「構わんさ。
どうせこの体はもう長くはもたねえ。
それに誰かが死ななきゃこの世界は救われないんだ。
格好いいじゃねえか。
トラドアの貧乏小作人の倅が世界を救う英雄になるんだ。
笑って見送ってくれ。
大剣を担いでいる男
「クムラン先生!
何故黙ってる!?
止めるのが友達だろ!!
クムラン
「・・・・・・
左奥に立っている男
「そんな!!
そうだ、凶戦士のクソ野郎共はどうだ!?
奴等を生け贄にしたらいい!
ちょうどここにもいる!
バルデス
「そいつらは『時の回廊』まで自力で行く力をすでに持っている。
貴重な戦力だ。殺すことは許さねえ。
それに・・・
それに、そいつらは俺の死んだ弟や妹達に似てるんだ。
最後の頼みだ。
そいつらを守ってやってくれ。
オイゲン
「バルデス・・・
クムラン
「バルデスさんと私は明朝『時の回廊』に出発します。
皆さんも戦いの準備をして下さい。
世界を救えるのは私達しかいないのですから。