猫はそれからもついてきた。
あの忌まわしい廊下を通り、主人公は手術室へ向かった。そこは一番慣れている場所で、自分に向いていると実感できる場所でもあったという。主人公は外科医だったのだろうか?

手術用の手袋をつけると全身に力が入って生きた心地になる。
手術用の帽子をかぶっている時間はとても長かった。マスクも常につけていたから、つけていないほうが違和感があるくらいだという。
手術が必要なほど深刻な肺のレントゲンを見て「いたって普通の患者の写真」と言う。
メスを見て幾度となく患者の肌を開いたことを羨ましいと思う。怯えるよりはマシ………?
(けぬき)ではなくピンセット。こう言う器具の呼び方にこだわるのも医者の特徴らしい。

この部屋で見つかるメモは不穏な病院の空気を一層濃くした。
肺の腫瘍を取り除くオペはそんなに難しいものではないが、執刀医の女性が情緒不安定らしい。
そして案の定手術は失敗した。それだけではない、彼女はメスを持ったまま廊下に飛び出していった。それはあの廊下での出来事だ。その後、手術室では残された医師が懸命にリカバリをしようとしたものの、結局失敗してしまった。メモを残した医者にとってそれはトラウマになった。手術の失敗は彼の責任ではないのに、彼は病院を離れようとしていた。

またもう一つのメモがある。これは医学生が手術見学をした時のものだ。
名医の彼女、ということは上述の女医はとても評判が良かったのだろう。だが、彼が目にした手術は学校で教わったものとは違っていた。手術室に生えている機械と患者を接続することなんて常識外だ。だけど、ここではそういうものなのだろう、と彼は思う。

かつての自分の仕事を思い出しながらこれらを拾い集めたとき、再び幻覚が始まった。

手術を待つように台の上に横たわった女性。
宣誓書から遺言状を読み、順に手術の手続きを踏む。幻覚の中の手術を終えると世界は戻った。

だが手術室の扉は閉ざされたままだ。
いくつものアイテムを拾ったのち、主人公は隠された扉から脱出することにした。