螢幕判官のノートを読もう その2・前半

新生戯院は1956年にオープンした、高さ20mを超える戦後最大のビルのことだ。
メインは映画館であった。
映画機器も高度なものが使用され、内部設備も国際基準に基づいて設計されていた他、レストラン、ダンスホール、デパートなどもあり、シンプルかつ洗練された建物だったようだ。外観にもこだわり、セメントやレンガなどを使わないでアルミニウムスキン、木材、断熱材に加えて防音サトウキビ(※適切な翻訳みたら言葉を修正予定)で装飾が施され、騒がしい中華街の横にありながら静かな環境で映画を観ることができた。

これで儲けた経営者は更に劇場の隣に多くの建物を建てた。余剰土地は石炭産業の偉い人に売られ、当時は「土地を買った人は劇場を建てること」という契約があったため、その後も劇場が次々と建てられた。おかげで周辺一帯は劇場街となった。

で、肝心のノートに記載されている新生戯院の火災はなんなのか。
ノートにも記載されているが、1966年1月19日午後1時50分ちょうど初めての国語映画(国産映画?)が上映されていた時に火災が発生した。火元は4階の貯蔵庫であった。火はすぐに延焼し瞬く間に建物中に広がった。当然ながら消防車などが出動して消火にあたろうとするのだが、外壁に窓がなかったため注水ができなかった。そのため初期に火の勢いを抑えることができず、被害は更に広がってしまった。
台北市警察局、憲兵隊、警備本部などから多くの治安要員が派遣された。当時は戒厳令下であったため、市民が火災のため足を止めて現場を見たり、それに伴う交通渋滞が発生しないように、東西南北の道も警備下に置かれたと見られる。
まあ現代でもこういうことはあるが、当時だともっと厳しかったのだろう。多分。

消防車は全市の26台に加えて近隣の警察署が支援する消防車24台が出動、空軍からも化学消防車3台が派遣された。しかし水圧が足らず、60m近い新生戯院に対し高さ35mまでしか消火活動ができなかった。警察が「火災は収束しつつある」と発表した頃には、全焼に近い状態だった。

鎮火後、火災現場からは多くの遺体が発見された。
出火した時間が午後であったことから、利用客が少なめだったことがせめてもの救いだったが、それでも30名近い犠牲者が出てしまった。多くは4階にあったダンスホールで発見されたが、6階のレストランでも調理人が犠牲になってしまった。またビル火災のため高所から飛び降りて逃げようとした人もおり、そうして命を落とした人もいた。消防隊の小隊長は、消火の際に使っていたハシゴの上にたまたま運良く落ちてきた男性に足を引っ張られ、落下して病院に運ばれたものの命を落とした。
(※原文:另外消防隊小隊長曾光榮在雲梯上,被跳樓的萬國聯誼社職員唐進之拖到地上,送醫後也宣告不治 。)
ノートに書いてある「陳何某小隊長」はこの人物と思われる。

この建物に最初からあった階段はたった3つ。このことから緊急時の避難についてはかなり難があった。
劇場から使用できる階段は1つ、エレベーターは1機であった。
ビル部分には後から多くの建物が追加されていたが、フロアを移動する手段はあまり増設しなかったらしい。
実は火事の9年前に市議員などが市長に劇場の安全問題について追求・批判をしている。その後も問題点が発見されたことから関係機関が劇場を全面検査し、更に徹底的な改善を求めていた。しかしそれは長い間改善されることはなく、火災に至ってしまったのである。

火災の責任についてはまあいろいろあったが、長くなってしまうのでこれは省略。
気になったのは以下の点。
その後ビルは新しく建て直されて新劇場もオープンしたが、この映画館には幽霊が出るという噂があった。しかし前述の通り、火災の犠牲者の中に映画館を利用していた人はいなかった。経営はあまり上手くいっていなかったようで、幽霊よりももっと怖いものがいた。

ネズミである。ハハッ

1981年に少女が映画を見ていた時にネズミに噛まれるという事件があった。
急ぎ病院で処置を受けたものの、この手のニュースはすぐ拡散する。劇場側は「ネズミではない、猫だ。当劇場には400匹以上の猫が住み着いているが、理由はわからない」としたものの、ネズミでも猫でも映画鑑賞中に噛まれるのはごめんである。
というわけで、新しい劇場もまた古い劇場と同じ歴史に埋もれた。

長ッ!
火災の新聞記事だけでこれだけになってしまった。
あとで自分が読み直すだけなのでだらだら書いてしまった。
今回の記事については以下のページを参考にした。とても詳しく書いてあり、動画もついていてわかりやすかった。

参考:台北市新生大戲院毀於大火

今はページごと翻訳してくれるサイトも多数あり、それらとにらめっこしながら書いている。正しくない解釈、訳し方があるかもしれないが、大目に見て欲しい。

前半はここまで。

螢幕判官のノートを読もう その1

Switch版「螢幕判官 Behind The Screen」プレイ記録。
セールだったのとちょっと個性的かつノスタルジーなグラフィックに釣られて。
ネットで評判を見ると、若干物足りないとかゲームとしてはイマイチという感想が目立つような気もするのだが、私は値段的にもこれくらいでちょうどいいのではと思ってしまう。パズル、アクションなどのゲーム性はおまけ程度に入っているだけなので、そう言うものを求めている人には物足りないのかもしれない。

で、ストーリーがどうだったのかというと、素直に一本道だけを辿ってEDに到達してしまうだけだとつまらないシナリオになってしまう。途中で手に入るノートを読めば少しは世界観を理解できるかと思って、思いつきだけで書いてみようと思う。
ちなみにあらすじはこんな感じ。

インターネットが発展していない年代を舞台に、ある大衆の怒りを買う殺人事件で展開される物語。一連のテレビニュース報道、モニター越し誰でも判官になって死刑に処したい。プレイヤーは犯罪者の回想で事件の真実を探す。

タイトルの意味はモニター越しの審判、みたいな意味でいいのだろうか。モニター越しに裁くとか。
日本語も怪しいので他言語はもっと怪しい。

殺人を犯した青年は一部だけが抜き取られてあることないことくっつけてメディアに拡散されていき、いつしか真実は誰も知らない所に消えてしまった。その青年の過去を我々が追体験して、彼が何を考えていたとか、どんな過去があったとか、そういうことを知っていくというお話。
でも、ガッと面白い展開が用意されているわけではない。
私は言語も怪しく、歴史にも疎いので正しいかどうかはさておき、いろいろ考えてみる。
読み方はグーグルに頼っているので、間違っていたら申し訳ない。

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TO THE MOON

2011年にSteamで配信されたこの作品、RPGツクールで作成された少し懐かしいテイストのゲーム。

『To the Moon』は、人生の最後に思い残すことなく死を迎えさせてあげるための仕事に従事するふたりを主人公にしたアドベンチャー。「月へ行きたい」という老人の願いをかなえるべく、行動するふたりが描かれることになる。

最初はグラフィックが粗めのドットで、斜め移動もできないのもあってあまりテンポがわからず、「これ面白いのだろうか…」と不安になってしまったのだが、心配は無用。
ピアノを基調としたBGMが素晴らしく、ドット故に想像で捕捉される点も多いし、簡潔なテキストなのに世界に引き込まれてしまい、あっという間にエンディングまで行ってしまった。
シリアス、コメディ、いろんな要素は入っているものの、やはりシナリオがよい。
あまり書くとネタバレになるので控えておくが、単純ではないところが良い点だと個人的に思った。シナリオの目線が細かく切り替えられるので、それらのパーツを読み取って考えることでプレイヤーも没入することができた。

プレイ後は目から鼻水が出るほど。
映画1本分くらいの時間で遊べるかと。
難易度も低く、謎解き要素もあるが難しくないし、パズル要素なども大きなペナルティはない?のかな。私は最初時間をかけすぎるとクライアントが死んでバッドエンドになるのか、などと思っていたけどそういうことはないと思う、多分。

現在はSwitchでも配信されているので、疲れた人に是非。
(疲れている時ストレス発散の方法の一つとして泣くことは良いこと)

返校 Detention

最早私が語るべきことは何も無い作品。

Steamで見かけて、動画サイトで見て、考察やなんかを読んで、いつしかSwitchで遊べるようになっていた。話も知っているし、今更感もあったのだが最新作の「還願 Devotion」の件もあってなんとなく。

とても美しく繊細で残酷な話。

ピンク色のワニ

P4Gに3の小ネタがあると懐かしくなる。ピンクのワニの話好きだったな。

かなしいお話かもしれないけど、それだけじゃない話。