彼は血の匂いが残った廊下を歩き、霊安室へと向かう。だがそこに広がっていたのは………

誰かがここで生活をしていた痕跡だった。よりにもよって霊安室で、である。
どうやらここにいたのは少々物書きをする人間のようだ。だが決して快適とは言えず、食料に困っている様子だ。どれくらい困っていたのかというと、輸血用の血液パックに口をつけた形跡があるほどだ。
だが妙なのは、その人物自身がわざとここに住んでいたようなところがある。どうしようもなくなってここに迷い込み、住むようになったわけではなさそうだった。もはや食べられないであろうチーズやパン、いくつもの本。謎だけが深まっていく。
主人公はかつてここで働いている友人がいた。検視を担当し、臓器を摘出する。多忙な彼はここで寝ることも多かったというのだから驚きである。主人公はそんな友人を理解したいと考えていたが………結局、彼との友情は終わった。

次はマネキンに足りないものを集める。それは右腕とかそういう生易しいものではない。
脳や心臓、大腸や小腸。もちろん腕や足も必要だけど。

だが、結局彼はどんな存在なのかは分からずじまいであった。
外から聞こえる悲鳴や血しぶきといった「死の音」に怯え、中から鍵をかけて閉じこもった。どうやら最初は気楽な気持ちでここに入ったのだろう。そして出られなくなった。その彼は一体どこへいったのだろうか。