カルスの棺桶の住人達へ
教皇の勢力が台風の目になっている。軍事力と政治力を巧みに使いこなし
旧バイレステ共和国の各都市を次々と
支配下に加えている。
たった1ヶ月で共和国の本土領土の
半分近くが教皇の手に落ちた。
「魔法具」と「魔法操具」という
兵器のおかげで戦争の仕方も変わりつつある。
剣や槍をろくに扱えなくても、
この2つさえあれば子供でも立派な戦士になる。事実、今までは数合わせだった農民兵が
貴族の正規軍以上の働きを見せている。
(その正規軍こそカスの集団なのだから、
逆転されて当たり前なのだが。)
もう騎士は戦争という舞台の主役から
とっくに降ろされている。
魔法具と魔法操具を装備した農民兵、
これが戦争の主役だ。誰でもろくな訓練なしに戦争に参加できるので、
一度の戦闘に参加する人間が簡単に千や万を
越えるようになったんだ。戦争の規模が大きく
なったんだから、死者も当然増えていく。
ファルツとウェッティンの戦いに参加した軍勢は
両軍あわせてなんと22万、死者は7万人だったそうだ。
こりゃ棺桶屋は大儲けだろう。
魔法具の数がこれからの戦いを左右するだろう。
で、その魔法具を一番持っている勢力・・・
旧バイレステ、旧アスロイトの貴族達だと
思いきや、驚いたことに教皇軍だそうだ。
教皇軍はいつの間に集めたのかってくらいの
大量の魔法具を隠し持っていたらしい。
それが教皇勢力の大躍進の秘密なのだろう。
各地の話題に移ろうと思ったが、
はっきり言って書ききれない。
何しろ、前の手紙を書いてから今日まで、
1万人以上が参加した合戦のニュースが
軽く50を越える。この町に届かなかった
情報もあるだろうから、実際にはこの何倍
あるのか・・・もう、小競り合い程度では
旅の商人の話題にものぼらない。
まさに世界は戦争一色だ。
神聖裁判の熱も下がらないし、
唯一の心の支えである天使の降臨も、
そちらからの手紙によるとどうも胡散臭い・・・
この世界は一体どうなるのか・・・
タッセル商会 オルターナ・E・タッセル