Citron*days


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吉村昭買いました

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吉村昭の本をさらにどっさり買い込みました。もう止められない。

ここのところちょっと疲れ気味でなかなか寝付けないので、淡々とした吉村作品が無性に読みたくなったのでした。前から読みたかったものと、Amazonで評価の高かったものを10冊ほど。
読み終わっても、次に読む活字があるのがすごく嬉しいのは、私が活字中毒気味だからでしょうか。とりあえず、本があるのは喜ばしいことです。

まだ読んでみたいけど手が出ないもの、がたくさんあるので、徐々に吉村昭を攻略していこうと思います。

Amazonでどさっと注文したあと、大岡昇平の「野火」が読みたくなりました。ほしいものリストに入れておいて、これは次回。
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戦艦武蔵/吉村昭

musashi.jpg戦艦武蔵/吉村 昭著

「高熱随道」で吉村昭の他の作品も読んでみたくなり、密林書店で何冊かぽちり。そして、早速「戦艦武蔵」読了しました。

当時の最高機密として扱われていた、武蔵を初めとする大和型戦艦。正直なところ、戦艦には全く興味がなかったのですが、緻密に描かれた武蔵の建設、構造を読むうちに、ものすごくスケールの大きな戦艦だったのだと改めて思い知らされました。

少し前に話題に上ったイージス艦「あたご」と、民間の漁船の大きさを比較したとき、あまりの大きさの違いに驚いたのですが、その「あたご」と武蔵を比較すると、武蔵は更に全長が100mも長いのでした。想像の限界です。その割に大和や武蔵は小回りのきく設計になっており、実際多くの魚雷や爆弾を避けたというのだから、素人にはびっくりの一言です。

※調べてて、イージス艦と比較するのはちょっと違うなぁと思ったんですが、ぱっと想像できそうなもの、ということで名前出しました。イージス艦といっても多種なのねー。


当時としては世界最大であった武蔵。読み進めていくうちに、建設に携わっている人たちの熱っぽさが移ってきたのか、完成するのが待ち遠しく感じられました。刻々と変化する世界情勢の中、着実に武蔵は造られていきます。無事に進水し、細部が完成され、武器も次々と武蔵に取り付けられていくのを読んでいると、完成の近いことに対して胸が躍るくらいでした。

当然のことながら、戦艦を作っているのは民間の会社です。しかし、一度それが完成すれば、それは軍の所有になります。無事に完成した武蔵が、民間から軍へ引き渡されるのも、考えてみれば当たり前のことなのですが、建設に携わった多くの民間の人の手を離れていくのは少し寂しくもありました。そこから先は民間人が知ることのできない世界となることを、明確に意識した作品でした。
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高熱隧道/吉村昭

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高熱隧道/吉村 昭著

黒部ダムには、関西電力黒部専用鉄道というものがあって、年に何回か見学ツアーが組まれています。そこへ行ってみたいね、という話をNサマとしていたのですが、当然ながら誰でもいけるというわけではなく、定員オーバーとなった場合は抽選となります。クジ運の悪い私は早くもイヤな予感です。

それはともかく、その黒部ダムへ行く前に読んでおくとより一層感慨深くなるという本があるよ、ということで図書館で借りてきたのが「高熱隧道」でした。閉架になってたよ。

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。
人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。
犠牲者は300余名を数えた。
トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。


ぱっと見た感じでは、プロジェクトXのようなものなのかな?と思ったのですが、のっけからそれは裏切られ、プロジェクトXのようにどこか美しさがあるわけではなく、そこにあるのはただ人の死と、自然の圧倒的な恐ろしさだけでした。
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吉川三国志買いました

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三国志を買ってしまいました(*'ω')[02][24]

今までは図書館で借りていたのですが、ここのところのマイ三国志ブームが覚めやらず、毎回借りるのも面倒なので買っちゃいました。Amazonなんぞ使わずに近所の本屋で。
今読んでる「新・水滸伝」(吉川英治)がもうすぐ終わるので、何か読むものないかなぁ、と本屋に入ったのが運の尽き。それでも、その場では踏みとどまって帰ったのですが、ぱらりとめくった1巻の冒頭の、劉備が茶を求めているシーンを読んだ瞬間、数々の話が頭に蘇ってきちゃったのでした。ただでさえ、水滸伝の中に「関羽のような髭を持った美髭公」とか「孔明」とか出てくるので、ふっと頭が三国時代に戻ったりして大変なのに、三国志を目にしてしまったからさあ大変。翌日本屋で全部お買い上げとなりました(笑)
ただし、何故か7巻だけがなかったので、その場で発注を依頼してきました。今週末には届くようです。早いなぁ。

同じ三国志や水滸伝でも、やっぱり北方謙三はダメなようです。あと途中で挫折している「項羽と劉邦」も…。ならば吉川英治のどこがいいのかといわれると、テンポがよくて読みやすいところかなぁと思います。割と描写は淡々としているのですが、かと思えば熱っぽく語ってあったり。また、話があちこちに飛んだり、また戻ったりするときもそれなりに注釈めいたものがついているので、読む側としては「あぁあのときの」とか「あーあそこはここにつながってたのか」とわかりやすいのです。

一度読んだ母曰く、「みんなが死んじゃうと読む気がなくなるー」ということですが、私はその先の話すら楽しくて仕方がないレベルに到達したので、水滸伝をさっさと読み終わって三国の世界に舞い戻ろうかと思っています(*'ω')-3
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三国志おわりました

最初に読んだときは、三国無双の勢いで読んでいたので、有名なところ以外はちょっと退屈だなーと思ったんですが、2回目の今回はすごく面白かったです。
吉川三国志は、劉備から始まり孔明に終わるのですが、その間ほとんど息もつけないまま読破しました。流石に後半に差し掛かり、名立たる蜀の武将が消えていくと読む速度も落ちてしまいましたが、それでもなお北伐を進めようとする孔明に魅せられ、読み続けていました。

読み終わった後に感じたのは、怒涛の時代が一つ終わったのだなという気持ち。もちろんこれは1つの時代の流れであり、また実在した人物の話でもあるのですが、そこがまたリアルですっごいなーと思うのです(笑)指輪物語と違って、本当にいた人物なんだ!というところが一番ハマった理由なのかもしれません。また、劉備・曹操を筆頭とした登場人物たちが、どれも個性豊かで激しく、読んでいても退屈しない魅力的な人物ばかりなのです。
いつしかその物語の中にはいりこみ、運命を共にしているようなそんな錯覚に陥っていたようで、終盤に孔明がかつての劉備を思い出したシーンで「そうそう、そうだったよね」と私も深く思い出に浸ってしまいました。

今まで図書館で借りていたのですが、このハマりっぷりに免じて買っちゃおうかなぁ。
久々に三国無双シリーズもやりたいところ…ですが、何故かソフトが行方不明。飽きてしばらくやらないだろう、とどこかにしまったのは覚えているのですが、さてそれはどこであったか…orzこの三国無双のおかげで、吉川三国志内の登場人物は大抵無双グラフィックに置き換わってしまっているのですが、イメージが浮かびやすいのでこれはこれでよいのです。ちょっと喋り方に違和感があることもあるんですが(笑)
おかげさまで、ゲームプレイ中にちらりと出てくる武将の名前も大抵読めるので、非常にゲームも濃くなり楽しく遊べるようになりました。
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神秘の短剣 琥珀の望遠鏡

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・神秘の短剣 / 琥珀の望遠鏡
---フィリップ・プルマン著 / 大久保 寛 訳---

ライラの冒険シリーズ3冊、読み終わりました。
この本は本当に今までのファンタジーと違うな、と思いながら。
一応続きは下に隠しておきます。

息もつけないほど早いスピードで、まるでジェットコースターに乗っているような物語の展開は、先が読めずに驚くことばかりでした。本を読みながら、泣いたり笑ったり、ほっとしたり喜んだり、ライラたちと一緒にわくわくしながら、時には悲しみながら、3冊を読み終わった、という感じがします。もっというなら、彼女たちの世界に放り込まれて、一部始終をみてしまった、という感じ。3巻の最後の文を読んでようやく、息をするのを思い出しました。

誰かが悪くて、何かが正しいという話ではありません。
誰もがみんな表も裏もあって、それぞれが悩んだり苦しんだりして、結局自分たちの答えを知っていくような感じです。
あとがきにもありますが、ハリーポッターシリーズと違いこれは完全な児童文学ではありません。ハリーポッターが子どもの気持ちに帰って読むものだとすれば、ライラの冒険シリーズは大人がそのまま読める児童文学なのです。
シビアな描写は、たぶん子どもがそのまま読むには難しすぎるかもしれないし、つらすぎるかもしれません。反面、大人の文学でも触れることの少ないテーマが根本にあり、ボリュームそのものはかなり大きなものとなっています。

児童文学なんてちゃちなもの、と思わずに、気が向いたら少し読んでみる事をオススメします。指輪物語が好きな人でも、これは大丈夫かもしれません。スケールは違いますが、満足するはずです。

息を飲む展開が最後に何回も繰り返され、それこそ本当に読みながら息を飲んだり手をたたいたり、泣いたりしていましたが、最後の最後でまたすごい展開が…。読み終わったあとは放心状態でした。
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私は指輪物語を何回も読むほど好きなので、逆に言うとちゃちな作りの物語は、あんまり読む気がしないのです。昔はただわくわくすればよかったのですが、あまりにもそれが軽すぎたり先が読めたりすると、かえってがっかりしてしまうので。
ハリーポッターを読まなくなってしまったのは、その辺りにも原因があります。母の言葉を借りるなら、ハリーポッターは「ハリウッド的な」物語なので、起承転結が割とはっきりしています。善と悪もわかります。指輪物語は、起承転結が曖昧だったりはっきりしていたりします。善と悪も、境界線が曖昧です。
両者は違う土俵なので、そもそも比較することが間違いなのですが、まぁこんな理由で私は読まなくなりました。だから、ちゃちな児童文学に飽きている人は、ライラシリーズを読むと面白いかもなぁ、と思います。
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黄金の羅針盤

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・黄金の羅針盤 ライラの冒険シリーズ (1)

---フィリップ・プルマン著 / 大久保 寛 訳

久々のファンタジーでした。本についていた帯には「『指輪物語』『ナルニア国物語』『はてしない物語』に熱中したすべての人に−今世紀最後の大冒険ファンタジー」と書いてありました。まぁこういう文句はよくあるので、どうだろうと思っていたのですが…。
母に評価を聞いたら「すごい面白い!」ということだったので、読んでみることに。我が家での母の本評価は、結構当たるのです。

主人公のライラが繰り広げていく物語が、ちゃちなものではなくて「次は?次はどうなるの?」と気になるくらいのいいテンポで進み、不思議な世界で不思議な生き物と、不思議な設定がとてもすんなりと、心地よく読めるようになっています。

ファンタジー作品としては、異例とも言える描写のシビアさやリアルさが、時として批判されがちですが、私はこの作品の重厚さにはかえって相応しいもののように思われます。

-------Amazonレビューより

ふわふわでほわほわのファンタジーではなくて、シビアで、時として残酷な結果も出てきますが、それが逆にファンタジーの甘さを抑えて、バランスを取っているような感じです。完璧に作られた世界ではなくて、ちょっと違う世界をのぞきながら、文字通り一緒にわくわくして冒険できるような本でした。
第三部からなる話の一部なので、続きが早く読みたくて仕方ありません。
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