Citron*days


<< 黄金の羅針盤 :: main :: 下呂・高山旅行記 >>

神秘の短剣 琥珀の望遠鏡

sinpi.jpg kohaku.jpg
・神秘の短剣 / 琥珀の望遠鏡
---フィリップ・プルマン著 / 大久保 寛 訳---

ライラの冒険シリーズ3冊、読み終わりました。
この本は本当に今までのファンタジーと違うな、と思いながら。
一応続きは下に隠しておきます。

息もつけないほど早いスピードで、まるでジェットコースターに乗っているような物語の展開は、先が読めずに驚くことばかりでした。本を読みながら、泣いたり笑ったり、ほっとしたり喜んだり、ライラたちと一緒にわくわくしながら、時には悲しみながら、3冊を読み終わった、という感じがします。もっというなら、彼女たちの世界に放り込まれて、一部始終をみてしまった、という感じ。3巻の最後の文を読んでようやく、息をするのを思い出しました。

誰かが悪くて、何かが正しいという話ではありません。
誰もがみんな表も裏もあって、それぞれが悩んだり苦しんだりして、結局自分たちの答えを知っていくような感じです。
あとがきにもありますが、ハリーポッターシリーズと違いこれは完全な児童文学ではありません。ハリーポッターが子どもの気持ちに帰って読むものだとすれば、ライラの冒険シリーズは大人がそのまま読める児童文学なのです。
シビアな描写は、たぶん子どもがそのまま読むには難しすぎるかもしれないし、つらすぎるかもしれません。反面、大人の文学でも触れることの少ないテーマが根本にあり、ボリュームそのものはかなり大きなものとなっています。

児童文学なんてちゃちなもの、と思わずに、気が向いたら少し読んでみる事をオススメします。指輪物語が好きな人でも、これは大丈夫かもしれません。スケールは違いますが、満足するはずです。

息を飲む展開が最後に何回も繰り返され、それこそ本当に読みながら息を飲んだり手をたたいたり、泣いたりしていましたが、最後の最後でまたすごい展開が…。読み終わったあとは放心状態でした。
----------------------------------------------
私は指輪物語を何回も読むほど好きなので、逆に言うとちゃちな作りの物語は、あんまり読む気がしないのです。昔はただわくわくすればよかったのですが、あまりにもそれが軽すぎたり先が読めたりすると、かえってがっかりしてしまうので。
ハリーポッターを読まなくなってしまったのは、その辺りにも原因があります。母の言葉を借りるなら、ハリーポッターは「ハリウッド的な」物語なので、起承転結が割とはっきりしています。善と悪もわかります。指輪物語は、起承転結が曖昧だったりはっきりしていたりします。善と悪も、境界線が曖昧です。
両者は違う土俵なので、そもそも比較することが間違いなのですが、まぁこんな理由で私は読まなくなりました。だから、ちゃちな児童文学に飽きている人は、ライラシリーズを読むと面白いかもなぁ、と思います。
Antenna > Book : - : trackbacks (0) : edit

Trackbacks